ピラミッドとスフィンクス
今回は、2024年の中東および北アフリカ(MENA)地域の成長率見通しに関するニュースです。
2024年10月16日、世界銀行は、中東・北アフリカの経済見通しに係る報告書『Growth in the Middle East and North Africa』を発表。
レポートによると、中東および北アフリカ(MENA)地域の2024年GDP成長率は、2.2%の予測となりました。
エジプトは、2.4%、湾岸諸国(GCC)6ヵ国は、1.9%の成長予測となりました。
それぞれ2023年の成長率からは上向いているものの、産油国の石油減産や紛争などによる中東情勢の悪化が経済に影響を与えたとして、2024年4月時点ではMENA地域の成長予測を2.7%としていたのを0.5ポイント下方修正される形となりました。
画像:世界銀行 公式HPより
MENA地域のインフレは緩和されており、2023年は2022年の5%から3.6%に減少、2024年には2.2%に減少すると予測されていますが、石油輸入国であるエジプトでは2023年の24.1%から2024年には33.6%に上昇するとされています。
また、エジプトの現在の口座赤字は、2023会計年度のGDP比1.2%から2024年度には5.3%に拡大する見込みとのこと。
赤字の拡大は、主にスエズ運河を介した輸送の減少による収益の減少が起因とのことです。
レポートでは、MENA地域の女性の労働参加率は現在19%とし、経済成長には、女性が参入する必要があるとしています。
雇用の性別ギャップをなくすことで、平均で1人あたりのGDPが51%増加する可能性があると推定しているとのこと。
そんな中、エジプトでは、2020年にエジプト人女性によって立ち上げられたフェムテック企業『motherbeing(マザービーイング)』が注目されています。
フェムテック(FemTech)とは、「女性(Female)」と「技術(Technology)」を合わせた造語。
女性特有の心身に関する課題をテクノロジーで解決する製品やサービスを指しており、世界的に成長を続けていますが、その市場の中心は、北米や欧州といわれています。
エジプトを含むMENA地域では、昔から、特に未婚の女性の身体について公の場で語ることがタブー視されてきました。
その結果、女性の性や生殖に関して誤った知識や情報が伝えられてきたといいます。
このような状況を打破すべく、エジプト人女性によって立ち上げられたフェムテック企業がマザービーイングです。
画像:motherbeing 公式HPより
同社は、性や生殖に関する正確な情報や、女性が健康のために必要とするサービス・製品へアクセスするためのオンライン・プラットフォームを、アラブの女性たちに提供しています。
インスタグラムには、40万人以上のフォロワーを抱え、日系VC(ベンチャーキャピタル)のサニー・サイド・ベンチャー・パートナーズも出資するなど注目されています。
MENA地域における女性の活躍が増えていくことを期待しつつ、今後もMENA地域の経済成長に注目していきたいところです。
以上、今回は2024年の中東および北アフリカ(MENA)地域の成長率見通しについてでした。
必要とする方の参考になれば幸いです!
参考:世界銀行『Growth in the Middle East and North Africa』、motherbeing
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